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復興財源確保法 [困惑]

昨年11月に

「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(復興財源確保法)

(平成23年法律第117号)が成立しています。

この復興財源確保法によって、東日本大震災の復興財源を確保するため、

「復興特別所得税」と「復興特別法人税」が創設され、

所得税と法人税を増税されることとなりましたが、

法律の施行日は平成25年1月1日ということになりました。

私は、

「 復興財源確保法で徴収される所得税は、平成25年1月1日以降の所得に対してのもの。

平成25年の所得税申告は、翌年(平成26年)2月に確定申告することになる。

だから、それまで(平成26年2月)の当分の間は、復興財源確保法の影響はないはずだ。 」

と勝手に思い込んでいました。

でも、この復興財源確保法は、

源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければならない

と定めています(同法28条1項)。

不勉強なことなのですが、ついさっき初めて、知りました。

  

 

私の事務所への弁護士報酬の支払額について

源泉徴収をしているクライアントに対して送付する請求書には、

来月から、

これまで源泉徴収税額として記していた金額に、

     102.1%

を乗じた額を源泉徴収税額として、ちゃんと記した請求書を送らないといけないことになります(「復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」、「復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」参照)。

  

徹底しておかないと、請求書の送り直し続出、となってしまいそうです。


時機に後れた攻撃防御方法だ、と言われて却下されちゃった [困惑]

民事訴訟法では、主張や証拠を遅出しすると、その提出が認められないことがあります。

「時機に後れた攻撃防御方法の却下」と言われるもので、民事訴訟法第157条第1項に規定されています。

民事訴訟法第157条第1項

当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、

これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、

裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。

 

 

昨日結審をした、第一審の民事訴訟の最終準備書面で、

「坪単価30万3000円の取引実例の存在を知りながらその事実を原告に秘匿した」と主張したところ、

この主張が

「時機に後れた攻撃防御方法であり、訴訟の完結を遅延させると認め、却下する」

と却下決定を喰らってしまいました。

 

その結果、私が最終準備書面で主張した、

「坪単価30万3000円の取引実例の存在を知りながらその事実を原告に秘匿した」

という主張は、訴訟上、主張していないという扱いを受けることになってしまいました。

 

 

私は、半年以上前に提出した準備書面で、「近隣地での売買実例では坪30.3万円の売買であり、… 」との主張をするとともに、

レインズの売買物件概要をその証拠として提出して、坪30.3万円の売買実例が(客観的に)存在していたことを明らかにしていました。

他方、被告が原告に提示していたレインズの売買実例の書証には、坪30.3万円の売買実例では(何故か)省かれていました。

坪30.3万円の取引実例が存在することが被告から説明されたことはなかったことになります。

そんなわけで、

原告の土地の近隣地で坪30.3万円の取引実例が存在していたこと、

その取引実例があることを被告が原告に伝えていなかった事実自体、

については被告は争っていませんでした。

 

そんて経緯があったわけですが、証人尋問も終わったので、

最終準備書面で、

「坪単価30万3000円の取引実例の存在を知りながらその事実を原告に秘匿した」

との主張をしたら、

裁判所に時機に後れた攻撃防御と判断されたというわけです。

 

被告が原告に示した取引実例は坪40万円前後のものばかりで、

存在していた坪30.3万円の取引実例は省かれていました。

被告が、検索条件を捜査して、坪30.3万円の取引実例が表示されないようにしていたとしか考えられません。

その理解を前提に、私は「坪単価30万3000円の取引実例の存在を知りながらその事実を原告に秘匿した」との主張をしたわけです。

 

 

裁判官は、最終準備書面で主張をした「被告は原告に坪30.3万円の取引実例があることを黙っていた」との主張が、

私が従前していた、

「被告は原告に坪30.3万円の取引実例を提示していなかった」との主張とは

「別の主張だ」

との理解をされているようです。

 

私は、この時機に後れた攻撃防御方法だとする裁判官の判断は、勘違いされているのではないかと思っています。

ですが、却下の裁判に対しては独立した、不服申立方法はありません。

そのため、この却下に対しては承服しかねますが、控訴審において、裁判官が下した却下の決定に対する不服を述べるしか方法がないことになります。 

 

 

 

こんな目に遭うとは、日頃の行いが悪くて、きっと、裁判官に嫌われたのでしょう。 

でも、どうせ控訴をするんだから、まぁ、いいか。 


日常生活上の事故と弁護士費用特約 [調査]

自動車保険の弁護士費用特約を使って、弁護士費用を保険会社に出してもらうことができるかを調べるために、

損保ジャパンのホームページで、個人自動車総合保険普通保険約款及び特約のしおり

を確認することになりました。

というのは、歩行者と歩行者の衝突事故で、圧迫骨折を受傷した被害者の方からの法律相談があったからです。

相談者の方は、弁護士費用特約付きの自動車保険に加入しているのことでした。

もし、相談があった歩行者同士の衝突事故の場合にも、弁護士費用特約を使うことができるのであれば、相談者の方にとって大変ありがたいことです。

弁護士費用は損保会社に負担してもらえばよく、相談者の方は経済的な負担を考える必要がなくなるからです。

そんなわけで、損保ジャパンの弁護士費用特約の適用範囲を調査することとなったというわけです。

調査結果ですが、

損保ジャパンの場合、俗に、「もらい事故」と言われる自動車事故の被害者となった場合にだけ、弁護士費用特約が使えることになっています(特約137頁以下参照)。

相談者の場合には、損保ジャパンに弁護士費用も負担してもらうことはできません。

残念ですが、弁護士費用は自腹で負担となります。

ところで、自動車事故の場合だけしか、弁護士費用特約を使えないとしている損保会社は、損保ジャパンだけのことではありません。

大手では、

東京海上日動、あいおいニッセイ同和

も同様でした。

自動車事故の場合だけに弁護士費用特約が適用されることになっています。     

損保ジャパン一社だけが、弁護士費用特約の適用範囲を狭くしているわけではありません。

 

  

大手の損保会社では、三井住友海上が残っていますが、

この三井住友海上だけが唯一、

自動車事故の場合だけでなく、日常生活上の事故の場合にも、

弁護士費用特約を使えるようにしていました(普通保険約款・特約137頁以下参照)。

適用範囲を、日常生活上の事故まで広げているわけです。  

  

弁護士費用特約が適用される範囲については、全社横並びだろうと思ってしまうかもしれませんが、そうではないんですね。


認知症の金持ちを狙う 魑魅魍魎 [感想]

今日のボ2ネタで、  

急増中!認知症の金持ちを狙う暴力団・悪徳弁護士」という記事が紹介されていました。

元ネタは、プレジデントの2012年12月31日号の記事ということですが、

武蔵野学院大学客員教授の平塚俊樹氏の、

認知症の老人の任意後見人となり、老人の家に押しかけてくるマルチ商法や新興宗教の人からその老人の財産を守った

という体験談からスタートです。

 平塚氏は、痴呆老人を食い物にしようとする者と、その手口について、

「相手は準構成員が多いですね。

不動産だと司法書士が間に入って面倒だから、最近相談が多いのは借用書で返済を迫ってくるケース。

裁判所は筆跡鑑定を判決に加味しないし、いまだに『印鑑の偽造はありえない』などと考えているから、

1000万、2000万円を簡単に持っていかれる」

とか、また、対抗策としての裁判の有効性について、

「私もそうした相談を3件受けましたが、裁判はすべて劣勢。

港区内のマンションを4棟やられた件もあります。法廷では一般人も暴力団員も扱いは変わりませんから…… 」

とかコメントを寄せています。

平塚氏のコメントを整理すると、

「裁判では、実印が押してある借用書があれば、

筆跡が本人のものでなくても、裁判官はお金を貸したと主張している者の言い分を認めてしまう。」、

 「裁判官は、裁判で、暴力団員だろうと、普通の人と同じ扱いをするため、暴力団員だからと言うだけで色眼鏡で見て、暴力団員を負けさせるようなことはない。」、

だから、裁判なんか使えない

ということになるようです。

でも、この平塚氏の意見は、私の実務感覚とは全く違います。

私の第一感は、

老人にお金を借りるような理由がないのであれば、裁判官は、まず、金銭の貸借があったこと自体を疑い、

実印が押された借用書が存在していようが、また、老人の自署がされた借用書があろうが、

お金の授受と、受け取ったお金の行方(どう使われたか)が納得できるものでない場合、

老人側を勝たせる場合が多いのでないか、 

というものですし、また、

裁判官は、暴力団員に対して 驚くほど冷たい対応をする。

暴力団員の主張は信用できないとの認定をして、(真実は、権利者であった場合であっても、)その暴力団員を敗訴させてしまう場合が多いのではないか、

というものです。

つまり、平塚氏とは反対で、

(勝訴判決を得ても、騙し取られた財産を、現実に回収可能であるかという問題は別にあるが、)

裁判(訴訟)自体の 分(勝訴の可能性)はそんなに悪くない。

裁判は使える。

というのが私の意見となります。   

  

この平塚氏ですが、今回は、肩書が「武蔵野学院大学客員教授」となっていたので、すぐに気付きませんでしたが、

11月2日のブログ(「証拠調査士?の名刺を見た」)で触れさせていただいた「証拠調査士」を標榜されている方です。

 

  

セミナー講師を紹介している「セミナーラボ」という会社のホームページで、

この平塚俊樹氏を講師として紹介しているページを見つけました。

平塚氏が講演をされている模様の動画があったので、見てみましたが、

平塚氏は

労働審判についてですが、

企業側の労働問題の相談に乗ってくれる弁護士がほとんどいないために、相談に乗ってくれる弁護士を捜すのが困難です

だとか、

弁護士が見つかっても、弁護士費用がものすごく高いです。おそらく、100万円、200万円ではきかないです。

その理由は、経営者側が労働問題で勝つとことはないため、成功報酬を取ることができないので、高い弁護士費用を請求する。

などと、独自の見解を、

大変自信をもって説明されています(1:50~2:20辺り) 。

  

このような知識や理解で、セミナーを開催し、セミナーに人が集まること自体に結構、びっくりしました。


最高裁の裏金裁判 [感想]

元裁判官の生田暉雄弁護士が

原告代理人となっている、国を被告とした民事訴訟が、

東京地裁で、審理中であることを知りました(三上英次氏のJanJanBlogの先月19日の記事「財布の中まで身体検査! 〈最高裁・裏金裁判〉 次回11月12日」 )。

訴訟は、今年9月27日が第1回口頭弁論期日、11月12日がその第2回。

そして、今日、12月10日が判決言渡期日だったようです

(日々坦々ブログ「最高裁の裏金:「日本国民は、犯罪者集団に裁かれているのです」 by 生田暉雄 (元高裁判事)」)。

生田弁護士は、これまでにも、

「最高裁による各裁判官の昇給や転勤などの人事評価基準を情報開示せよと」いう内容の公文書公開拒否処分取消訴訟を提起したり、

最高裁長官などを不法行為で訴えている民事訴訟

の原告代理人となったりして、

最高裁の裏金疑惑の追及や、最高裁による裁判官統制を告発されたりしています。

今回は、

裁判官の人事異動や、裁判所の予算を明らかにしないことが違法だということを主張されている

国賠訴訟のようですが、

今までとは違って、

今回の裁判では、生田弁護士の主張に賛同する100名が原告として名を連ねている

ということ点がこれまではとは明らかに違います。

生田弁護士の考えに賛同する人が、目に見えて増えています。

今回の生田弁護士の訴訟では、裁判所の過剰警備がやり玉に挙げられています。

それは、

なぜ、8席分しか一般傍聴用の席を確保できないような法廷を使うのか

とか、 

入廷に際し、荷物検査や、金属探知機での検査をする必要があるのか

等です(例えば、天木直人氏の10月6日のブログ「大手メディアが決して報じない最高裁裏金疑惑裁判」)。

警備の都合としては、小さい法廷の方が警備しやすいので、座席数が38席の法廷を使うことにしたのでしょうが、

一般傍聴の傍聴席が8席しか確保しないなんて、その感覚の鈍さには驚きます。

そんなことをすれば、

「一般傍聴者を締め出すためだ」

と言われてしまうでしょうが。


テレビ局の電波利用料 [感想]

河野太郎・牧野洋共著「共謀者たち 政治家と新聞記者を繋ぐ暗黒回廊」という本を読んでいたところ、

営業収益100億円以上のテレビ局の電波利用料の一覧表が載っていました。

テレビ局が電波利用料として、いくらを負担しているかが、テレビや新聞で報じられることはまずないので、

そのまま引用させていただきました。

テレビ局電波利用料.jpg

大して払ってないんですね。

全てのテレビ局で負担している電波利用料だと、総額で34億4700万円だそうです。

河野太郎議員の平成20年2月24日公式ブログ「本邦初公開?」でも、ほぼ同じことが書かれています。

でも、なぜか各局が負担する電波利用料の額が微妙に違っています。書き損じでしょうか。

以上は、平成18年度についての話です。

平成18年度以降は、どうなっているのでしょう。

気になったので、多少調べてみました。

平成22年度については、

Jcastテレビウォッチが、

平成22年11月3日の記事「テレビ電波利用料安すぎる―『週刊ポスト』が資料入手」で、

平成22年度のテレビ局が負担した電波利用料の総額は 42億4641万円 

であったと、

週刊ポストの記事を引用して報じていることを見つけました。

平成18年度と比べると約2割、負担する電波利用料が増額となっています。

平成22年度以降は、どうなっているか調べてましたが、なかなか見つかりませんでした。

でも、やっとのことで、

平成24年度について、テレビ局が負担している電波利用料は総額で 約51億5376万円

であったことが分かりました。

総務省は現在、「電波有効利用の促進に関する検討会」を開催していますが、今年4月の第1回会合で、

事務局(つまり、総務省)が「電波の利用に関する現状と諸課題について」を資料として提出しています。

その資料の17頁のグラフを見てみますと、

平成24年度の歳入715.8億円のうち 放送事業者からのものが 7.2 % を占めている

ことが図示されています。

そこから、

715.8 億円 × 7.2 % ≒ 51億5376万円

と、テレビ局が負担している電波利用料を割り出すことができるわけです。

平成22年と比べて見ますと、支払っている電波利用料は 9億円、率として約2割 増えています。

でも、もともとが少なかったので、大幅に利用料が増えているかのように見えるだけ、とも言えます。

平成24年度電波利用料予算.jpg

なお、放送事業者には、ラジオもあるのではないかという、もっともな疑念があるところですが、

総務省で平成22年に開催されていた「電波利用料制度に関する専門調査会」で総務省が資料として提出した

電波利用料制度の現状等について

では、歳入の内訳として 「テレビ 51億円」 と書いてありますので

少なくとも、ここでは、

「放送事業者」とは テレビ局のことだけを言っていて、ラジオ局は入っていないと理解しておけば間違いなさそうです。

 テレビ51億円.jpg

共謀者たち 政治家と新聞記者を繋ぐ暗黒回廊

共謀者たち 政治家と新聞記者を繋ぐ暗黒回廊

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/12/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



こんな民間資格があるんだ [困惑]

保険の関係者に資格取得を勧める売込みがなされているみたいですが、

相続診断士

という民間資格をご存じでしょうか。

 

 

税理士の先生が代表理事に就任している、

一般社団法人相続診断協会という団体が、

検定試験を実施し、資格の付与を行っている資格です。

 

 

協会のホームページでは、「 相続診断士とは? 」と題して、

相続診断士は、相続に関する広く多岐にわたる問題を理解し、一般の方への啓蒙活動を行います。

その中で、相続についてトラブルが発生しそうな場合には、

できるだけ事前に弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの専門家に橋渡しを行い、

問題の芽を早めに摘み取り、

相続を円滑に進める『笑顔相続の道先案内』人として社会的な役割を担います。  

と、相続診断士の使命(?)を語っています。

  

 

私などは、

「相続に関して相談を受けたが、相談内容が手に負えるのであれば、専門家に相談をするよう勧めるのは当たり前のこと」

と思ってしまいます。

そのため、「相続診断士という民間資格など必要なの?」という考えです。

  

とは言うものの、実際、相続診断士の民間資格を取っている人が、身近にもいるわけで、

必要な人にとっては必要な資格なのでしょう。

 

 

相続診断士検定試験の受験料は 36,750円で、

資格は2年間有効。

2年経過後、認定研修の受講を受けて更新ということになりますが

更新料は 15,750円

 

 

更新料を取るなんて、目の付け所がいいです。

うまいこと考えますね。

 

 

でも、こんなん、ありなんですかね。


かんぽ生命の保険金不払い [検討]

先月14日、

かんぽ生命保険(かんぽ生命)が、 民営化後の07年10月〜12年10月の5年間で、支払うべき保険金計100億円を不払い状態とし、保険金不払い件数は計10万件にのぼることが分かった

とのニュースが報じられました(例えば、毎日jpの記事「かんぽ生命 : 不払い 100億円 民営化後 5年間で10万件」)。

記事によると、

かんぽ生命の保険金不払いは、今年2〜4月の金融庁による検査で発覚。

事態を重く見た金融庁が今年9月、保険業法に基づき、「民営化後5年間の支払い漏れの可能性検証を」と報告徴求命令を出した。

日本郵政グループが金融庁の報告徴求命令を受けて再調査した結果、追加支払いを要する件数が約10万件、金額が約100億円となる。

ということだそうです。

かんぽ生命は、先月13日、プレスリリース(「保険金の請求案内等に関するお客さま対応の実施について」)を出して、

(1) 民営化(平成19年10月)以降5年間にご請求いただいた事案(約1,700万件)を検証します。

(2) 予想される追加支払は、お客さまのご意向や今後の検証作業によりますが、

約10万件程度(検証対象の0.6%程度)、約100億円程度と想定されます。

 とか何とか言っていますが、

昨日のブログで触れましたように、かんぽ生命自体、 

保険金・返戻金等の支払いにより消滅から 2年以上経過している契約につきましては、調査することができない場合があります

と認めています。

 かんぽ生命が検証を予定している約1,700万件の事案の中には、

当然、「契約が消滅した」として処理済で、、

契約の消滅から 2年以上経過しているとして、調査ができない案件が含まれているはずです。

かんぽ生命は、どうやって、調査不能案件を検証するというのでしょうか。

どなたか、かんぽ生命に 大いに突っ込んでもらいたいところです。

  

 

ところで、毎日の記事にも書いてありますが、

かんぽ生命は、2年前の平成22年7月23日にも、

旧日本郵政公社時代の平成15年4月〜19年9月に支払った約1737万件の案件中に、26万7千件、352億円の保険金不払いがあった

とニュースリリースを流しています( 「保険金等の支払点検に係る調査結果等について(平成21年4月13日、5月29日、8月31日、12月25日及び平成22年3月31日報道発表関連)」)。

保険金の不払いは今回が初めてではありません。

それだけでなく、かんぽ生命は、

先月22日、郵政民営化委員会に満期保険金などの未払い額が約2300億円にのぼると報告した

ということです(日経電子版の先月30日の記事「金融庁・総務省、かんぽ新学資保険を条件付きで認可」)。 

  

なお、金融庁の「株式会社かんぽ生命保険における新規業務の認可について」の別紙の第3項には、

同月 22 日に郵政民営化委員会報告した満期保険金等の未払額 (約 2,300 億円)

と書いてあるので、かんぽ生命の満期保険金等の未払額が約2,300億円であることは間違いありません。

  

民間の生保・損保の保険金不払いは、せいぜい数百億円までのことでした(wikipedia「保険金不払い事件」参照)。 

このかんぽ生命の

約 2,300億円の不払い

とは、たまげる話です。

かんぽ生命は、平成22年7月23日のニュースリリースの中で、

かんぽ生命といたしましては、

正確かつ漏れなく保険金等をお支払いするための態勢整備を事業運営上の最重要課題と位置づけ、

経営資源を優先的に投入して、再発防止策に取り組んでおりますが、

今回の結果を踏まえ、引き続き全社を挙げて再発防止に万全を期し、お客さまからの信頼回復に努めてまいります。

 と述べていましたが、誓いも、反省も全て嘘だったようです。

金融庁は、かんぽ生命が認可申請している学資保険の認可について、(郵政民営化法上の認可を条件付きで認可しましたが、) 保険業法上の認可を先送りしました(金融庁 「株式会社かんぽ生命保険における新規業務の認可について」、SankeiBiz「『新学資保険』の認可先送り かんぽ支払い漏れ対応条件」参照)。

 

  

金融庁が保険業法上の認可を先送りしたのは、当然と言えば、当然のことだと言えます。


かんぽの契約履歴 [調査]

財産調査をしないといけない案件でのことです。 

  

ゆうちょ銀行の通常貯金のお預かり金額欄に、

19-11-16  00755 送金 ×,×××,××× (保険金)

という記載がありました。

  

ゆうちょ銀行貯金事務センターなどに確認してみたところ、

この記載は、

かんぽ生保が、平成19年11月16日、保険金の支払いとして ×,×××,×××円を千代田霞が関郵便局から振込送金したこと

を表しているということが分かりました。

そこで、今度は、振り込まれた×,×××,×××円が、

どのような保険のお金なのかを調査するため、

かんぽ生命の とあるサービスセンターに文書で照会をしてみました。

  

これに対する かんぽ生命からの回答は、

調査対象者を保険契約者または被保険者とする保険契約はありません 

というものでした。

  

私は当然、「ありますよ」という回答だと思い込んでいましたので、

回答書を見て、のけ反ってしまいました。

たった5年前に終わった保険契約が、どんな内容の契約だったかすら、保険会社である かんぽ生命は回答できないわけですから。

民間生保であれば、契約終了から20年経過してても、30年経過してても、締結された保険契約について回答を間違いなくしてくれます。 

かんぽ生命の 回答書をよく読んでみると、

保険金・返戻金等の支払いにより消滅から 2年以上経過している契約につきましては、調査することができない場合があります

と書かれているではないですか。

これは、

保険契約消滅から 2年経過してしまうと、契約の内容(契約日、契約者、被保険者、保険金支払日、支払額 etc)を回答できないことになりますよ

と言っているのと同じことになります。

契約終了から 2年しか契約情報を保管しない、(ガラクタのような)契約情報管理システムを

わざわざ導入していることになります。

悪い冗談かと思ってしまうような話です。

  

情報を保存するためのコストは、IT化の進展等もあり、劇的に逓減しているわけですが、

そのような環境の下で、   

「契約情報をストックせずに、契約終了後、2年経過した時点で、(わざわざ)契約情報を廃棄していく 契約情報管理システム」

を かんぽ生命は本当に採用しているというのでしょうか。

本当であれば、正気の沙汰ではありません。

  

私は、照会先のかんぽ生命の とあるサービスセンターに電話をして、色々と質問をぶつけてみました。

ですが、サービスセンターの担当者の電話での回答内容は、

調査をしてみたが、契約情報が見当たらない。

保険契約消滅から2年経過した契約なので、契約情報が無くなっているのだろう。

そのため、残念ですが、「ありません」という回答しかできないことになります。

という判で押したかのような同じ回答でした。

  

   

やはり、かんぽ生命が 2年しか契約情報を保管していないのは、本当のようです。

  

このかんぽ生命の

「 契約情報の保管期間は、契約終了から 2年 」

という契約情報の管理システムですが、 

ガラパゴス以前のようなものです。

ガラパゴス島でも進化はありますが、かんぽ生命の契約情報管理システムでは それすら ないわけですから。

結構、驚きました。

  

 回答書(かんぽ生命保険).jpg

(かんぽ生命の とあるサービスセンターからの回答書)


元榮弁護士の次の一手

日経ビジネスの最新号(2012・12・3 No.1669)で、

法律相談サイトである「弁護士ドットコム」を運営している

元榮太一郎(もとえ・たいちろう)弁護士

が紹介されていました。

そんな中、先週金曜日(11月30日)、 

WEB集客型葬儀サービス「小さなお葬式」を提供している(株)ユニクエスト・オンラインが、

元榮弁護士が代表をつとめる弁護士事務所オーセンスと業務提携をした

とのプレスリリースを流しました(「業界初!全国統一料金の相続・遺言サポートサービスを2012年12月より全国展開」)。

   

ニュースリリースによれば、ユニクエスト・オンラインとオーセンスが業務提供して提供する「相続・遺言サポートサービス」のサービス内容と、サービスの特徴は、それぞれ、 

■  サービス内容

実費を含んだ完全追加料金なしの「戸籍収集サービス」(39,800円)を筆頭に、遺言書作成サポートや相続放棄など相続棄など相続に関するすべてのサービスを全国統一料金で提供致します。

(1)戸籍収集、相続関係図作成サポート    39,800円(税込)※実費込み

(2)不動産の名義変更サポート          81,900円(税込)+実費分+登録免許税

(3)相続放棄サポート               52,500円(税込)+実費分

(4)弁護士による代理人サポート        98,000円(税込)+実費分

(5)遺言書の作成サポート            98,000円(税込)+実費分

■サービス特徴

(1)全国対応

全国の弁護士ネットワークを通じ、全国のお客様への対応が可能

(2)全国統一料金

顧客からの問合せが多いサービスを、全国統一の明瞭な価格で提示

(3)24時間365日受付

相続担当のスタッフを配置し、緊急時にも迅速に対応が可能

だとのことだそうです。

   

弁護士法72条(同27条)があるため

「弁護士ドットコム」が、同サイトを利用している弁護士から、

紹介料等の利用料を取るわけにはいきません。

   

「『弁護士ドットコム』に先行投資として注ぎ込んだ資金を、元榮弁護士はどうやって資金回収していくんだろうか?」

と漠然と思っていましたが、 

弁護士事務所オーセンスが、地方の弁護士と共同受任する、

とか、

地方の弁護士に受任した業務を再度、委任する、

という方法をとれば、弁護士事務所オーセンスは弁護士報酬の配分に与かることができます。

   

なるほどです。

新しい試みですが、元榮弁護士には頑張っていただき、是非成功させていただきたいと思います。